この短編集には、痛みや苦しみを抱える人達が描かれています。
どんなに弱く、もろく、悲しみを抱えていても、
人の後ろには必ず応援してくれる人がいる、
と確信させられる1冊です。
わたしは中でも、「団旗はためくもとに」という話が大好きでした。
主人公は高校生の女の子ですが、彼女の父親の方が
圧倒的に存在感が大きいのです。
かつて大学で応援団長だった父親は、娘が高校を中退する日、
かつての応援団仲間を集めて、校門のところで娘にエールを切ります。
その後、この本を読む度に好きな章がコロコロと変わり、
いまでは、それぞれすべての章が大好きで、
『小さき者へ』の1冊
がとても大好きで大切です。
本のタイトルにもなっている「小さき者へ」。
息子は家に引きこもり、家庭内暴力もある。
父親は口では何も言えないけれど、
パソコンで息子に手紙を書き続ける。
息子に手渡すことなく、溜まる一方の手紙の中で、
父親は、自分と自分の父親との関係を見つめなおします。
この父親の話が胸に迫ります。