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『初恋』

あの時代故の若者の苦しみであったり、
主人公がどんな思いで
三億円強奪計画に手を貸したか。
また、三億円強奪に成功しながらも
やはり実ることの無かった恋に、
主人公の切ない気持ちが伝わってきました。

この作品については原作を読んでいたので
ストーリーはあっけなく感じられましたが、
それでも映画ならではの良さもありました。

この映画で語られる昭和には
「高度成長」の明るさは、ない。

どの時代にも、陰は存在したんだという
当たり前のことを、改めて確認しました。



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『間宮兄弟』

間宮明信と徹信は仲のいい兄弟。
それぞれ立派な社会人だけど、
趣味、価値観、モテなさ加減も一緒のふたりは
仕事以外、ほとんど行動をともにしています。
ある日、カレーパーティを企画したふたりは、
それぞれちょっと気になる女性を招待します。
一方、明信は会社の先輩の離婚に協力を求められ困惑。
兄弟ふたりの平和な生活に変化が訪れます。

江國香織さんの同名小説を、映画化した作品です。

兄弟離れができない自立しきれない男ふたりの物語は、
描き方によっては変人扱いされてしまいそうですが、
家族を誰よりも大切にする誠実さが全面に出ていて、
ふたりのズレ加減がユーモア。
コミカルなヒューマンドラマです。

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『本を読むわたし-My Books Report-』

少しずつ読んでいたけれど、毎回、
何かしら心にしんと響く感じがしました。

日米ハーフの彼女は15歳。
微妙な年齢の彼女が綴った文章はとても素敵で、
可愛らしいさがあります。
今日まで抱えてきた思いを、
その時を一緒に過ごしてきた本と共に綴っています。
大人じゃ見えない目線で見て、感じて、考えてみる。
けっして、幼い書き方はしていないけど、
かといって、子どもを忘れていく大人の書き方ではない。

『小学生日記』のとき、解説の重松清さんが
「小学生にしか書けないけど、小学生には書けない」と
表現していましたが、今回の作品は華恵さんにしか書けない
と思わされる作品でした。

違った文化・国・環境で生きてきた人たちが
お互いを理解することの難しさ、
…違っているから面白く、違っているから哀しい…
そこからくる、明るい切なさのようなものが強く印象に残りました。

私は、『本を読むわたし―My Book Report』から読んでしまったけど、
デビュー作の『小学生日記』も良い作品なので、
合わせて読んでほしいと思います。

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『手紙』

強盗殺人の罪で服役中の兄、剛志。
弟・直貴のもとには、獄中から月に一度、手紙が届きます。
しかし、進学、恋愛、就職と、直貴が幸せをつかもうとするたびに、
「強盗殺人犯の弟」という運命が立ちはだかる苛酷な現実。

"予想外の展開"というものはよくありますが、
この作品は読み手の感情が予想外に展開する
不思議な物語だと思います。

前半はずっしりと重く、暗く、
出口の見えない絶望的なストーリーです。
読んでいるほうもズンと気分が落ち込みます。
しかし中盤からうっすらと光が差してきます。
決して、何もかもハッピーエンドというわけには
いきませんが、とても後味の良い結末です。

人の絆とは何か…。
いつか罪は償えるのだろうか…。
犯罪加害者の家族を真正面から描き切った一冊です。



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『その日の前に』

最初に読み終えた後は、静かな感動を覚えました。
そして、二度目に読んだときは、ひとつひとつの言葉が重く
泣きながら読みました。
でも、不思議に「悲しみ」とは少し違います。
大切な人を亡くしてしまう悲しさは確かにあるのですが、
喪失感よりも、去っていく者の気遣いや、
残された者の前向きな姿に泣かされます。

それから、「忘れる」ということの意味も考えさせられました。

死をテーマにした短編集ですが、
「生」が根源にある作品です。



その日のまえに その日の前に
重松 清 (2005/08/05)
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